金子みすゞさんが子どもに与えたかった心の糧
先日金子みすゞさんの童謡集を読みました。
数少ない言葉で綴る金子さんの想いと各ページの余白が、慌ただしい毎日を送っている自分の心の中にすっと入ってきました。
金子みすゞさんは結婚後、娘を授かりますが夫との不仲が続きます。
そして親権は自分に残すことを条件についに離婚を決断します。
しかし夫はその後何度も親権を取り戻そうとしてきました。
娘をとても愛していた彼女は、夫には絶対に親権を渡しまいと「親権は自分の母親に譲る」と遺書を残し26歳の若さでこの世を去りました。
これが愛娘をとられまいと遺書に残した言葉です。
あなたがふうちゃんを連れていきたければ、連れて行ってもいいでしょう。
ただ、私はふうちゃんを、心の豊かな子に育てたいのです。
だから、母が私を育ててくれたように、ふうちゃんを育ててほしいのです。
どうしてもというのなら、それはしかたないけれど、あなたがふうちゃんに与えられるのはお金であって、心の糧ではありません。
『金子みすゞさん童謡集』(角川春樹事務所)219ページより引用
愛娘を残してこのような決断をしなければならなかったことを思うと、母としてどれほどつらかったことか。
そう思うと同時に、私は母として子どもに心の糧を与えられているのだろうかと思うと反省すべき点がたくさんあります。
見えないからこそ十分与えられているのかわかりにくいし、自分が満たされていなければ与えるのが難しい。
1回与えたらいいというものでもないし、継続的に少しずつ少しずつ。
この複雑な社会の中を生き抜けるための心の糧。
心のよりどころ。
親としてそんなにすごいことはできないけれど、親も頑張り過ぎずにできる範囲で心の糧につながるものをプレゼントし続けたい。