「専業主婦」という概念がない?『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』
知れば知るほど魅力的で、先月発売されたこちらの本を読みました。
スウェーデンの保育園に待機児童はいない (移住して分かった子育てに優しい社会の暮らし)
- 作者: 久山葉子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2019/06/20
- メディア: 単行本
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日本人男性と結婚し、スウェーデンに移住した著者の育児エッセイですが、保育方針や労働環境、生活習慣などいい面でも悪い面でも日本と違うことがたくさん紹介されていました。
その中でも特に印象的だった部分について取り上げてみます。
「専業主婦は失業者」
社会保障が充実しているので、税金を払って一人前。
そんなスウェーデンで生活をしていると、無職で税金を支払っていないと肩身の狭い思いをするのだそう。
その一例として紹介されているのが、筆者が保育園に申込みをした時のこと。
職業欄に「専業主婦」はなく、担当者に「失業者」扱いされたそうです。これは日本と大きな違いですよね。
また、筆者が起業する際、税務署で必要書類に記入する時にも、現在自分が専業主婦であることを理解してもらうのに時間がかかったようです。
「今無職ということですが、失業手当をもらっていないんでよね?どうやって生活しているの?」
「いや、夫が働いていて、わたしは家に二歳児もいますし・・・」
日本だとそれはごく普通の回答だと思う。でもこちらの税務署のお姉さんは、それではまったく納得がいかないようだった。夫が働いている、という答えにはなんの説得力もなみたいだ。やはりこちらでは男女関係なく経済的に自立しているのが当たり前なのだとつくづく思わされた。
専業主婦は失業者。だからこそ保育園に入れないという状況はなく、求職中でも保育園に預けて仕事を探せる環境が整っているんだなと思いました。
家族優先の社会
次は皆さんもご存知の通り、日本との労働環境の違い。
家族優先に考えてくれる社会だからこそ、定時帰宅はもちろんのこと、有給取得にも全く後ろめたさを感じず堂々と取得できる。夫が5時の定時で帰宅するので、幼い子どもがいる筆者も育児する上で助かったと述べています。
我が家も昨日夫が早めに仕事を切り上げて5時くらいに帰宅したのですが、やはり5時帰宅と10時帰宅では雲泥の差です。
夕方からの忙しい時間に自分以外に大人が一人いるのといないのとでは、精神的な余裕が全然違います。
日本では、まだまだ職場に家族の話は持ち込めない雰囲気がありますが、スウェーデンは真逆ですね。
仕事に対する考え方の違い
本の中でスウェーデンで電車が遅れた場合の対応の違いにも触れていました。
日本では度々車内アナウンスで「申し訳ございません」と何度も謝るのが一般的なのに対し、スウェーデンでは故障しちゃったんだし仕方がないというスタンスらしいのです。
このメンタリティーは鉄道会社だけでなく、社会全体に感じられる。どういう業種であても、仕事上で問題が生じた場合、もちろんそれを解決する努力はするが、そこで個人的に罪悪感やストレスを感じることはしない。
”消費者の我慢”と”働き手のストレス”は常に反比例する関係にある。しかし消費者も仕事に行けば働き手であり、働き手は、プライベートでは消費者である。働き手に対して常に完璧さを求めるのは、結局は自分の首を絞めていることになるのかもしれない。
電車も時刻通りに正確に発着するなど、サービスやおもてなしの分野ではピカイチの日本ですが、その裏で働き手が過度なストレスを抱えていたり、プライベートの時間を削っているのかもしれない。顧客満足度は高い反面、過労死大国日本、自殺率が高い日本は、自分たちの仕事に対する考え方も見つめ直す必要があると感じました。
結局は価値観の違い?
北欧関連の本や動画などを見ていると「何を幸せとするか」の違いだなと思います。
先日デンマークの女性へインタビューした動画を見たのですが、この「何をもって自分は幸せであると感じるか」について考えた時に、それはお金や物、地位や名声を求めることではなく、自分の家族や大切な人と素敵な時間を過ごすことであると考える人が多いがゆえに社会制度もそれに適したものになっていったんだなと思います。
決して良いこと尽くめではないスウェーデン生活ですが、やっぱり憧れてしまう面がたくさん。機会があったら是非読んでみてください(*^^*)